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第28回FIBA ASIA男子バスケットボール選手権大会 最終日結果 -3位決定戦・イランに63-68で惜敗し、今大会を4位で終了。来年のFIBAオリンピック世界最終予選へ-

2015年10月4日

全員が気持ちを込め、諦めることなく戦い続けるチームに成長

どこまで通用するか挑戦し、平均21.3得点/11.9リバウンドの個人成績を残した#15竹内 譲次選手

 「第28回FIBA ASIA男子バスケットボール選手権大会(兼 2016年リオデジャネイロオリンピック アジア地区予選)」は最終日(11日目)。ハヤブサジャパン 男子日本代表チームのラストゲームは、銅メダルを懸けたイランとの3位決定戦。18年前、日本が最後に決勝まで進み、準優勝を成し遂げた1997年大会以降、アジアチャンピオンの座についているのはイランと中国のみ。ここ近年、3大会を制したきたイランでしたが、昨日の準決勝で地元・中国に敗戦。そのため、開幕戦と同じく最終戦もイランとの対戦となり、銅メダルを懸けた戦いが始まりました。

 開始早々、#6比江島 慎選手が2つのファウルを犯し、ベンチに下げざるを得ないハプニングからスタート。イランのエース#14バハラミ選手に3Pシュートを次々と決められ、一気に15点差を開かれます。しかし途中出場した#16松井 啓十郎選手が得意の3Pシュートでピンチを救い、29-31と2点差まで追い上げ前半終了。
 後半に#6比江島選手が復活し、#25古川 孝敏選手とともに得点を重ね、第3ピリオド終了時点で48-44と逆転に成功。リバウンド数も26:23本でイランを上回り、日本がペースを握ります。しかし第4ピリオド、試合巧者であるイランは、218cmの#15ハダディ選手を起点に攻め込まれると逆転され、劣勢に立たされました。#14バハラミ選手の3Pシュートがまた決まりはじめ、残り3分で51-63と日本は12点ビハインド。誰一人諦めることなくボールを追い、最後までゴールを狙い続けた日本は、#25古川選手が3本、#15竹内 譲次選手も1本の3Pシュートを土壇場に決めて追い上げます。しかし無情にも時間は淡々と流れていき、63-68と5点及ばず、メダルを獲得することはできませんでした。

 「昨日も今日も第4ピリオドは0点でした。自分の中ではこのチームのエースという意識があったので、最後は(イラン#14バハラミ選手やフィリピン#7ウィリアム選手と比較しても)エースの差でやられてしまったと思っています」と悔しい表情を見せた#6比江島選手。しかしエースであることを自覚し、彼の成長とともにチームは勢いづいていきました。「第4ピリオドに活躍できるメンタルの強さなどはまだまだ課題であり、その時間帯こそ勝負どころでプレッシャーをかけられるのは当たり前ですし、そこで決めなければいけないです。海外遠征からずっと接戦をしていても、最後5分を切ったところで離されてしまうのが日本の負けパターン。その時間帯に得点を取り、打開できる選手になりたいです」と話しており、本気になったイラン、フィリピンと戦えたことで乗り越えねばならない課題も明確になりました。

 リードを許した前半、3Pシュートでチームを救ってくれた#16松井 啓十郎選手。3大会連続でFIBA ASIA選手権に出場し、過去2回は自分の力を出し切れずに悔しい思いをしてきただけに、今大会を終えた後、「負けましたがとても楽しい大会でした」と笑顔を見せました。もちろんこの結果に満足しているわけではなく、「FIBAオリンピック世界最終予選の切符を獲ることはできましたが、表彰台に上れるチャンスがあっただけに昨日のフィリピン戦と今日の試合に負けたのは悔しかったです」とも話しており、来年のFIBAオリンピック世界最終予選へ向け、レベルアップして戻ってくることを約束してくれました。

 平均21.3得点(スタッツリーダーズ 3位)、11.9リバウンド(同2位)と目覚ましい活躍をした#15竹内選手。大会前からアジアの真剣勝負の中で、どこまで通用するかという課題を持って挑み、しっかりと数字を残すことができました。「良い仲間に恵まれたと本当に思います。これで終わるのが本当にもったいないくらいです」というコメントが、このチームの成長と素晴らしさを言い表しており、それが数字となって現れた要因でもあります。日本のスタイルを出して勝つことができたことに手応えを感じるとともに、「ベスト4で満足するわけではないですし、もっと突き詰めて練習していけば、さらに上を見られるのではないか、という希望もあります。若い選手、特に比江島が成長したことで、今後の日本代表も明るい兆しが僕だけではなく、日本のファンの皆さんにも見えたのではないかと思います」と話していました。

 年齢的にベテランと若手の橋渡し役としてキャプテンに抜擢された#34小野 龍猛選手。「キャプテンらしいことは、何もしていません。全員が個々にリーダーシップを取れたことでひとつになれたのだと思います」と謙遜していましたが、合宿中から変わらずに今大会も苦しい時に声をかけ、リーダーシップを発揮し、チームをひとつにまとめてくれました。「初戦のイランに大敗し、そこからディフェンスやリバウンドを一からやり直した結果が、ベスト4進出につながったと思います。チームも最後の方にはひとつになり、最後はイランを相手に5点差という競った試合はできましたが、勝ちきれないのが今後の日本の課題です」と今大会を振り返りました。

 優勝チームにリオデジャネイロオリンピックの出場権が与えられる今大会。そのアジア1枚の切符を、決勝戦「中国vsフィリピン」で争いました。結果は、地元の大観衆に後押しされた中国が、78-67でフィリピンを振り切り、2大会ぶりのアジアチャンピオンに返り咲き、オリンピックの出場権を獲得しました。

■第28回FIBA ASIA男子バスケットボール選手権大会 最終結果
優 勝  中国 ※2大会ぶり16回目(リオデジャネイロオリンピック出場権獲得)
準優勝  フィリピン ※FIBAオリンピック世界最終予選 出場権獲得
3 位  イラン   ※FIBAオリンピック世界最終予選 出場権獲得
4 位  日本    ※FIBAオリンピック世界最終予選 出場権獲得
5 位  レバノン
6 位  韓国
7 位  カタール
8 位  インド
9 位  ヨルダン
10位  パレスチナ
11位  カザフスタン
12位  ホンコン・チャイナ
13位  チャイニーズ・タイペイ
14位  クウェート
15位  シンガポール
16位  マレーシア

■大会MVP
YI Jianlian(中国 #11)

■大会ベスト5
PG WILLIAM Jayson(フィリピン #7)
SG GUO Ailun(中国 #6)
F  NIK Mohammadsamad(イラン #14)
PF YI Jianlian(中国 #11)
C  ZHOU Qi(中国 #15)

 チーム発足時、長谷川ヘッドコーチは「日本国籍を持つ全てのバスケットボールプレイヤーにチャンスがある」と話していました。世界への扉を開いた男子日本代表チームは目指すべき存在となり、NBLやTK bjリーグで活躍する選手たち、将来を担う学生が切磋琢磨していくことが日本の強化につながります。「これから国内で競争し、努力を重ねていかなければダメ。この11人がまた簡単に日本代表に選ばれるようでは、日本がこの先もベスト4を維持していくのは難しいです。メンバーが頻繁に入れ替わるような力をつけなければなりません」と長谷川ヘッドコーチは話しており、来年のFIBAオリンピック男子世界最終予選へ向け、新たなる戦力が台頭してくることに期待しています。

 大会期間中、たくさんのご声援をいただきまして、本当にありがとうございました。ハヤブサジャパン 男子日本代表チームは、目標としていたベスト4進出を成し遂げ、来年7月(開催地未定)に開催される「FIBA男子オリンピック世界最終予選」の出場権を獲得することができました。18年ぶりに自らの手で世界へ挑戦する切符を掴み、さらなる高い目標を持って、これからシーズンを迎える国内リーグで切磋琢磨していきます。引き続き、ご声援をよろしくお願いいたします。