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平成27年度ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン) 第6回キャンプ開催報告

2016年3月31日

切磋琢磨した仲間たちと集合写真撮影

最終キャンプもファンダメンタル中心に実施

 2月4日(木)~6日(土)の3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにて、平成27年度ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン)の第6回キャンプを開催しました。

 今年度の最終キャンプとなった今回も、ファンダメンタルを中心としたドリルで構成されました。ディフェンスのフットワークでは、正しい腕の使い方など細かな点を指導され、対するオフェンスは2つのボールを扱うドリブルで前進していきます。そうしたドリルをスムーズにこなしていく選手たち。最終日の午後に行われたスクリメージでも、教わってきたモーションオフェンスを使いながら、そのなかで個々の特長を生かすなど、10月の第1回キャンプから明らかな成長を見せていました。

 全6回の指導にあたったトーステン・ロイブルコーチも、選手たちの成長を認めたうえで、次のように言及します。
「彼らはすごく成長しました。プロの選手でもできないような、非常に難しいコーディネーションドリルをできるようになった選手も出てきて、驚いたほどです。これまでペイントエリア内だけでプレイしていた選手たちが、ここではアウトサイドのプレイも覚えなければいけません。特にボールのないところでどのように動くかなどは、多くの選手にとって非常に難しかったと思いますし、まだまだ苦労している選手もいます。それでも『スペーシングを保つ』といったコンセプトは理解できてきたと思います。あとはそれを常にコート上で表現できるかどうか。『ジュニアエリートアカデミー』は彼らのキャリアの第一歩です。キャンプに参加し、そこで自分の能力を出し切ったと自己満足で終わってほしくありません。周りからは『ジュニアエリートアカデミーに参加できてよかったね』と言われるかもしれませんが、これはあくまでのトップレベルの選手になるための第一歩であり、次のステップがあることを忘れないでほしいです。このプログラムは将来に向けた強い基礎を作るためのものですから、選手たちにもそれを忘れないでほしいと思います」

 ロイブルコーチのそうした思いは、選手たちにも確実に届いています。キャンプを終えた充実感、達成感を示しつつ、それぞれが次のステージに向けた意欲を見せていました。

 鈴木 響希選手(神奈川・茅ヶ崎市立浜須賀中学校 3年)は「すごく楽しかったです。いつも学校でやっている練習とは異なり、初心に戻るようなドリブルやシュートを練習したので、自分の今後のためにも役立つものでした。学校に戻っても継続して取り組みたいと思います」

 浅井 修伍選手(北九州市立沖田中学校 3年)は「キャンプの最初のころにできなかったことも、今はできるようになりました。体力やメンタルなどさまざまな面で向上できて、高校でもそれらを役立てていきたいです」

 吉田 敬陽選手(神奈川・横浜市立松本中学校 3年)は、186cmと参加メンバーのなかでは小さい部類に入り、パワーでも劣ることに当初は不安を感じていたと言います。
「そのため最初のころは自信が持てず、持ち味も発揮できませんでした。でも最終キャンプでは自分にも自信が出てきました。高校でもこれを継続して、最終的にはまたここ(味の素ナショナルトレーニングセンター)に戻ってきたいです」と、日本代表入りへの意欲を見せていました。

 日本代表への意欲では阮 晨昕選手(愛媛・今治市立立花中学校 3年)も負けてはいません。日本代表を目指すにあたって、現時点で日本のトップレベルにいる選手たちと一緒にプレイしてみたいとキャンプに応募しました。中国籍の阮選手ですが、現在日本国籍を取得するための手続きも行なっていると言います。
「6回のキャンプを通じて、自分の足りないところや、周りより優れているところを再確認できました。足りないところという意味では、モーションオフェンスの動きを覚えられずに、みんなに迷惑をかけてしまったことは、自分の経験不足もあると思います。ただし経験不足を言い訳にはしたくないので、高校3年間でどう埋めていくかが大切だと思っています。そのうえで改めて僕は日の丸を背負って、今回お世話になったスタッフの方々ともう一度チームになって、世界を相手に戦ってみたいです」

 もちろん6回のキャンプが彼ら全員にとって、順風満帆だったわけではありません。
 望月 陽平選手(新潟・新潟市立鳥屋野中学校 3年)は、「キャンプでは自分の苦手なパワーを求められるドリルが多くて、逃げ出したくなって、行きたくないなと思ったことも、正直なことを言えばあります」と認めます。「でもこのキャンプに参加するのは自分のためなのだと奮い立たせてきたことで、学ぶことも多かったです。高校に進んでも厳しい練習はあると思います。そのときに逃げたいという気持ちは出てくるかもしれません。でも練習が苦しくて、苦しくて、でもそれが楽しみになるという経験をジュニアエリートアカデミーで繰り返してきたので、乗り越えるための気持ちの切り替えはできると思います」

 そのうえで望月選手は参加者を代表して、キャンプの感想をこう締めくくりました。
「ジュニアエリートアカデミーに参加して、自分のやりたいことが明確になって、かつ日本の現状――世界に比べてフィジカルが弱いことを知って、悔しさとともに努力することの大切さを知りました。高校3年間の目標と、取り組むべき課題を見えてきて、意欲が沸いてきました。ジュニアエリートアカデミーはそれらを得る、いい機会だったと思います」

 村上 佳司コーチは彼らのそうした発言にも注目し、評価をします。
「雰囲気のよいキャンプでした。特に今年は4回目ということもあって、過去に参加したことのある選手たちが、初めて参加する選手たちにキャンプのありようを意識づけできていたのは、ジュニアエリートアカデミーを継続してきた成果の一つだと思います。最終日の前夜に選手全員がスピーチをしましたが、それぞれが自分の目標を、自分の言葉で発言できるようになっていました。『右に倣え』ではなく、個々の環境や性格を分析したうえでの、自分の目標を立てていたことは評価できるポイントだと思います」

 閉講式では修了書が手渡され、切磋琢磨してきた仲間たちとの別れを惜しんで涙を流す選手もいました。
 開講して4年目となるジュニアエリートアカデミーはバスケットの技術だけでなく、発言を含めた選手たちの心の成長、人としての成長も促しながら、今年度の全日程を無事に終了しました。

 
■第6回キャンプ 主な実施プログラム

■1日目 2月4日(木) 午後
・栄養講習
・シューティングメカニズム・心理サポートフィードバック

■2日目 2月5日(金) 午前
・朝練習(シューティングドリル)
・スキルトレーニング

■2日目 2月5日(金) 午後
・スキルトレーニング
・フィジカルトレーニング
・チームビルディング
・講習(IT指導)
・自主学習

■3日目 2月6日(日) 午前
・朝練習(シューティングドリル)
・スキルトレーニング
・フィジカルトレーニング

■3日目 2月6日(日) 午後
・スキルトレーニング

<練習メニュー 一部紹介>
①AUTOMATICS OFFENSE 3MEN GAME
https://youtu.be/BXzivhZk7MY

※活動の様子は「フォトギャラリー」にてご覧ください。

<トピックス>
・フィジカルトレーニング

①ジャンプトレーニング
https://youtu.be/kYhZQ7H33x0

②アジリティトレーニング
https://youtu.be/bL-wbAxERTs

③インターバルトレーニング
https://youtu.be/ql_ckKBhCWg

④筋力トレーニング
https://youtu.be/yVHYtF9sIdc

 
■第6回キャンプ 参加スタッフ

【バスケットボールスキル担当】
トーステン・ロイブル(男子ジュニア専任コーチ)

【フィジカル担当】
國友 亮佑(JBA)

【シューティングメカニズム担当】
袴田 智子(JISS)、稲葉 優希(JISS)

【心理サポート担当】
奥野 真由(JISS)

【講習会講師】
栄養:小林 唯
チームビルディング:神田 義輝
IT指導:糸満 盛晃(データスタジアム株式会社)

【トレーナー】
西村 航(JBA)

【映像撮影】
加藤 翔鷹

【ジュニアエリートアカデミープロジェクトスタッフ】
佐々木 三男(慶應義塾大学)、村上 佳司(國學院大學)、古海 五月(JBA)、本永 昌生(通訳)

【アシスタントコーチ(研修)】
伊豆倉 明子(さいたま市立大原中学校)、小林 康裕(東京成徳大学高校)、大森 誠(名古屋市立中央高校)