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3×3女子U23日本代表:FIBA3x3 U23 ワールドカップ 2025 総括「多くの仲間たちの応援を感じながら戦えたことも結果につながった要因」前田有香ヘッドコーチ
2025年9月24日

基盤を作り、成果を残した就任1年目を振り返る前田有香ヘッドコーチ

準決勝オランダ戦へ向かう前のミーティング
「FIBA 3×3 U23ワールドカップ2025」で3×3女子U23日本代表を世界4位へ導いた前田有香ヘッドコーチ。今年5月に3×3女子日本代表を統括するヘッドコーチとして就任以来、伊集南コーチとともに「同じメンバーで、同じチームで世界を転戦することが本当に大事」「日本の3×3における基盤を作り、世界と戦えるチームにしていきたい」とこの種目の特性を生かした強化に務めてきました。
今シーズン最初の3×3女子日本代表合宿時、「伊波(美空)選手(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)と花島(百香)選手(ENEOSサンフラワーズ)が参加したことも大きかったです。それがFIBA 3×3ネーションズリーグ2025 -アジア-(以下ネーションズリーグ)や今大会の結果につながりました。スタートの時点でセルビアからミラン(イサコフ)コーチを招聘し、3×3に必要なスキルや戦術などを教えてもらったことは今度も継続していきたいです」とカテゴリーの垣根を越えた強化が実を結びつつあります。
4人の特徴を深く理解し、長所を発揮させるチームワークで戦って行くことが3×3には不可欠です。今大会へ向け、近藤京選手(アイシン ウィングス)を新たに招集し、「そこからみんなで話し合い、自分たちの武器をしっかりと理解してくれたことで急成長につながり、良いゲームができました」と前田ヘッドコーチは短期間でチームビルディングを成功させます。
メダル獲得へ向けて逆算し、予選プールを4連勝突破を最初のマイルストーンに設定。エジプトとチャイニーズ・タイペイに対し、FIBAランキングで上回る日本が順当に勝利をおさめます。続く中国は、ネーションズリーグで幾度となく勝利してきました。しかし、ホーム開催であり、FIBAランキング1位に対して油断はできません。日本が先行してゲームは進み、終盤に点差を詰められるも20-19で逃げ切ります。「選手たち自身が、何をすれば勝てるかを分かってプレーできていました」と指揮官を安堵させるゲーム運びで3勝目を挙げました。
目標の4連勝に向け、さらに強い気持ちで臨んだイタリアとの予選プール最終戦。序盤こそ日本がリードしていましたが、開始5分で7-10とイタリアに流れを渡して折り返します。「点差を離されたことで焦ってしまったところはありました」と前田ヘッドコーチはスタンドから戦況を見守ります。今大会はじめて劣勢を強いられる中、「それでも自分たちのバスケを信じて継続したことが結果につながりました。正直、私自身も見ていて驚きました。でも、点差が開き、試合時間が残り少なくなっていても逆転できるのが3×3の魅力です。本当に勝てて良かったです」と19-18の大逆転勝利。無傷の4連勝で予選1位突破を決めました。
「これまでも日本代表は国際大会において、ベスト4へ向かうための準々決勝の壁が1番大きいと思っていました。まずはそこに全力集中することを選手たちには伝えました」
前田ヘッドコーチは相手への対策もさることながら、まずは積み上げてきた日本のバスケスタイルを遂行することを徹底させ、17-11でポーランドに勝利。「無事に勝ち切れたことは日本代表として3×3のスタンダードが少しずつ上がりはじめている実感はありました」と準々決勝の壁を乗り越えます。しかし、準決勝でオランダに18-20、3位決定戦では13-18でスペインに敗れ、メダルを手にすることはできませんでした。
メダル獲得へ向けた2度のチャンスを逸し、「そこで勝ち切る要素はこれからの課題です。これから細かく検証しますが、準決勝と3位決定戦は自分たちが積み重ねて来たプレーを出せなかったと感じます。試合前にはスカウティングし、相手の特徴を伝えましたが、それよりも自分たちの強みやスタイルを出し続けるところにもっとこだわらなければいけなかったです」と話す前田ヘッドコーチにとっても経験値を高める敗戦でした。
世界一に輝いたオランダとは準決勝だけではなく、大会前に練習試合を実施。チャンピオンチームとの対戦を通じ、「フィジカルの差は当然ありましたが、練習してきた自分たちのスタイルが通用することも練習試合のときから実感できました。しかし大会がはじまると、私の印象としてオランダが飛び抜けており、大会へ向けたギアの上げ方も素晴らしかったです。準決勝では終盤の攻防の質はひとつレベルが上でしたが、日本が目指してきたプレーも見られました。敗れましたが、選手たちは自信を持ってもらえたと思います」と現在地を知る機会になりました。
今年6月には3×3女子日本代表がFIBA 3×3ワールドカップ2025で過去最高位タイの9位、FIBA 3×3ウィメンズシリーズ2025には2大会出場し、最後のジャカルタSTOPでは優勝。そして、3×3女子U23日本代表がFIBA 3×3 U23ワールドカップで世界4位となり、着実に成果を残しています。前田ヘッドコーチにとっても手応えを感じられた初シーズンを以下のように締めくくりました。
「戦術だけではなく、この種目をどう戦って行くべきかを理解させ、その基盤を作りながら強化して行けばうまくいく道筋があり、そこが3×3を戦う上で大事になると感じてスタートを切りました。同じメンバーで世界大会を転戦しながら強化していくベースができ、私が3×3で経験してきたことを伝え、選手自身も理解し、吸収し、手応えを感じてくれたことが結果につながって良かったです。今シーズンは勝つことができましたが、勝ち続けることはもっと難しいチャレンジです。来シーズンへ向けて戦術面にプラスし、フィジカルや個のスキルのレベルアップも必要になるので全力で取り組んでいきたいです。また、U23だけではなくU21の選手も一緒に強化し、若い世代から積み上げていける仕組み作りが必要です。一緒に練習をすることのメリットとして、カテゴリーの垣根を越えて試合を見て応援してくれました。これまでも大会を通じて、多くの仲間たちの応援を感じながら戦えたことも結果につながった要因です」
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